詳細計算
計算結果
CCr値
腎機能評価
補足情報
体表面積: - m²
理想体重: - kg
薬物投与量設定のための腎機能指標を簡単に計算
腎機能の正確な評価は、安全かつ効果的な薬物療法の基盤です。特に腎排泄型薬剤や腎毒性のある薬剤の投与量調節において不可欠な指標となります。
体表面積: - m²
理想体重: - kg
CCr (mL/min) = [(140 - 年齢) × 体重 (kg)] / [72 × 血清Cr (mg/dL)]
女性の場合は上記の値に0.85を乗じる
1976年に発表された経験式。薬物動態試験で最も広く使用され、多くの薬剤添付文書の投与量調節基準のベースとなっています。
eGFR (mL/min/1.73m²) = 194 × Cr-1.094 × 年齢-0.287
女性の場合は上記の値に0.739を乗じる
日本人のイヌリンクリアランスを用いた研究に基づき2008年に開発。日本腎臓学会が推奨する日本人向けの推算式です。
eGFRcys (mL/min/1.73m²) = (104 × シスタチンC-1.019 × 0.996年齢) - 8
筋肉量に依存しない低分子蛋白質であるシスタチンCを用いた評価法。特に筋肉量が少ない高齢者や長期臥床患者での精度が高いとされています。
単一指標ではなく、複数の腎機能評価法の組み合わせによる総合的な判断が推奨されています。
最終更新日: 2024年3月1日
CCr(クレアチニンクリアランス)は24時間蓄尿による実測値が基本で、Cockcroft-Gault式による推算も可能です。体格の影響を受けやすく、若年者では実際のGFRより30%程度高く算出されます。eGFR(推算糸球体濾過量)は日本人のGFR推算式を使用し、体表面積1.73m²あたりで補正された値です。年齢・性別による補正が含まれ、CKDの診断・病期分類に使用されます。
筋肉量が著しく少ない、または多い患者、高齢者や寝たきりの患者、重度の肝機能障害がある患者、極端な食事制限を行っている患者、妊婦などの場合に特に有用です。ただし、甲状腺機能亢進症・低下症、ステロイド投与中、悪性腫瘍の場合はシスタチンC値が影響を受ける可能性があります。
腎排泄型薬剤の場合、Cockcroft-Gault式によるCCrを使用することが推奨されます。添付文書の投与量調節基準もCCrに基づいて設定されている場合が多いです。高齢者や体格の影響を考慮する必要がある場合、実体重ではなく理想体重を用いたCCrの算出を検討し、必要に応じてシスタチンCによる評価も考慮します。個々の薬剤の特性や患者の状態に応じて、適切な指標を選択することが重要です。
透析患者(特に血液透析患者)の場合、通常の腎機能推算式はほとんど意味をなさないことが多いです。血液透析患者ではCCrやeGFRではなく、「透析患者」として添付文書の記載に従い投与量を設定します。透析効率(Kt/V)や透析膜の種類によって薬物除去率が異なり、尿量がある場合は残存腎機能も考慮します。具体的なアプローチとして、血液透析患者向けの投与設計ガイドラインを参照し、透析日・非透析日での投与タイミングを考慮し、透析性のある薬剤では透析後の補充投与を検討します。透析患者では薬物動態が複雑なため、個別のケースに応じた専門的な判断が重要です。
腎機能の経時的変化は予後予測や治療効果判定において重要な指標です。腎毒性のある薬剤の使用中、CKDの進行リスクが高い患者、急性腎障害からの回復過程、術後や造影剤使用後など腎機能変動リスクが高い状況では特に注意が必要です。安定期のCKDでは3〜6ヶ月ごとのeGFR・尿蛋白評価、不安定期・急性期では週1回またはそれ以上の頻度で評価し、eGFRの年間低下率(通常は1mL/min/1.73m²/年以下が望ましい)を確認します。eGFR低下率は「(現在のeGFR - 過去のeGFR) / 経過月数 × 12 (mL/min/1.73m²/年)」で計算し、急性変動を除き少なくとも3ヶ月以上の間隔での比較が推奨されます。
本ツールは医療従事者向けの参考情報として提供されています。実際の診断・治療には必ず医師の判断を仰いでください。
腎臓専門医・臨床薬理学専門家
腎機能評価と薬物投与設計に関する研究に従事。国内外の医療機関での臨床経験を持ち、最新のエビデンスに基づいた腎機能評価方法の普及に取り組んでいます。
実際の臨床シナリオを元に、腎機能評価の適切な方法と解釈を解説します。
筋肉量が少なく、クレアチニン産生が低下している高齢者。Cr値のみでは腎機能を過大評価している可能性が高い。シスタチンCに基づくeGFRがより実態を反映していると考えられ、CKDステージG3bと判断。薬物投与量設定にはCCrを参考にし、腎排泄型薬剤は減量が必要。
肥満患者では実体重を用いたCCrは腎機能を過大評価する。薬物投与量設定では理想体重を用いたCCrが推奨される。eGFRは標準化された体格を前提とするため、極度の肥満では実際の薬物クリアランスを正確に反映しない可能性がある。投与量設定は理想体重でのCCrに基づき、TDMが可能な薬剤では血中濃度モニタリングを併用することが望ましい。
AKIからの回復過程では、クレアチニンクリアランスとクレアチニン産生のバランスが変動するため、クレアチニン値や計算式による腎機能推算値の信頼性は低下する。特に回復期には、クレアチニン値からの推算値が実際の腎機能を過小評価する可能性がある。薬物投与量は頻回な再評価が必要で、半減期の長い薬剤や腎毒性薬剤は特に注意する。
甲状腺機能低下症ではシスタチンCが上昇することがあり、シスタチンCに基づくeGFRは腎機能を過小評価する可能性がある。また、甲状腺機能低下によるクレアチニン代謝の変化も影響する。複数の評価指標を組み合わせ、臨床所見や他の検査結果と総合的に判断することが重要。この症例では、クレアチニンベースのeGFRを主な指標とし、尿蛋白などの腎障害マーカーも考慮すべき。
腎機能評価において最も重要なことは、単一の指標に頼らず、患者の臨床背景を考慮した総合的な判断を行うことです。特に薬物投与量設定では、薬剤の特性(腎排泄率、蛋白結合率、治療域の広さなど)と患者要因を組み合わせた個別化アプローチが不可欠です。